家族葬とは
時代とともに変化をしていく葬儀の形ですが、ここ10年くらいの間に急激に増加しているのが「家族葬」という形です。
「家族葬」とは言葉の通り、家族たちが参列をして行う葬儀の方法のことです。
もともとの始まりは70~90年台にかけて、いわゆる「ハデ葬」と言われるような大規模な葬儀が流行したことにあります。
高度成長期からバブル期にかけては、結婚式や葬儀などの冠婚葬祭行事は大規模であるほどよいとされており、一般の人の葬儀でも100人以上が参列するような大規模な式が一般的でした。
しかしそうした大規模な葬儀の場合、故人のことをよく知り、またその死を悼む人は割合的には少なく、ほとんどが社会的付き合いのために仕方なく参列をするということが多くなっていたのです。
そこで一般の人を招いて行う葬儀とは別に、近い関係であった親族や知人のみを招いて行う「密葬」という葬儀をもう一つ行うことがありました。
時代が変わり「ハデ葬」がなくなったことにより、現在では以前まで「密葬」と言われてきた小規模な葬儀の方が一般的になってきました。
これが現在の「家族葬」と言われるもので、参列をする人数は多くても30人以内で、小さな斎場で行われるのが主流です。
家族葬の特徴
家族葬と一般葬の最大の違いは、参列をする人数です。
現在では葬儀の会場となるのは町中にあるセレモニーホールやメモリーホールとなっています。
それら専用の斎場においては家族葬用の小規模な部屋が設置をされており、そうしたところを利用することにより割安に葬儀を行うことが可能です。
一般葬として会社関係者や近所の知り合いなどに声を掛ける場合、葬儀にかかる費用は総額で約200万円くらいが全国平均となっています。
ですが家族葬の場合は30万円程度から行うことができるものもあり、多くても100万円以内で可能であるプランが主流です。
また一般葬の場合、臨終が確認された時からお通夜が行われるまでに参列を呼びかける人たちへ葬儀の案内を発送するこちになっていますが、家族葬の場合は先に呼びかけるのは親族のみです。
親族以外の人には、家族葬が終了してからどのようにして葬儀を終えたかという事後連絡に留めるようにしており、香典や供花なども基本的には参列しなかった方からは受け取りません。
メリット・デメリット
なぜここ近年家族葬が急激に増加してきたかといえば、それはやはり葬儀にかかる費用が非常に高額になってしまったことが要因にあるでしょう。
かつての一般葬では数百万円があたりまえに必要になっていたので、自分の葬儀のために多額のお金を用意しておかないと遺族に迷惑をかけてしまうというプレッシャーが高齢者にありました。
また、平均寿命が延びたことにより、自分のかつての友人や同僚などの知り合いは先に亡くなっていて、参列者のほとんどが自分のことを知らないということも起こっていました。
そこで家族に迷惑をかけたくないということと、本当に自分を弔ってくれる人だけに参列してもらいたいという希望から、家族葬という形が選ばれるようになっていったのです。
その一方で家族葬のデメリットとなるのが、一般参列者には事後報告となるので、参列を希望していた人が手を合わせることができないという点です。
かつてお世話になった方の葬儀に出たかったという人もいるでしょうし、最後のお別れをしたかったと考える親類以外の人もいるはずです。
そうした人たちにとって悔いの残る葬儀になってしまうかもしれません。
また、地方の地域の中には葬儀は地域全体で行うものであるという意識が残っており、勝手に遺族のみで葬儀をしてしまうことに抵抗感を示してしまうこともあります。
地域の中心人物に相談せずに勝手に家族葬にしてしまうことにより、そこで残された遺族が近隣の人と人間関係に溝ができてしまう恐れもあるでしょう。
家族葬を円満に行っていく時には、本人や遺族の希望ということをきちんと周囲に説明し、納得の行く形で行うようにすることが重要です。