再就職に強い人材の特徴
昔と違って食生活や環境が劇的によくなったことにより、健康寿命も大きく伸びています。
平均寿命も1960年代から急激に伸びており、それまでは60代で亡くなる人が多かったのに対し、現在では男性80.98歳、女性87.14歳まで平均的に生きられるようになりました。
つまり、言い換えれば定年後も20年間は人生が続いていくということになるのです。
企業勤めの定年は60~65歳となっていますが、年金受給年齢の基準は65歳からとなっていることから、60歳で定年退職をすると受給年齢になるまで何らかの形で収入を確保する必要があります。
とはいえ、現在は人口減により労働力が不足しているので、健康な高齢者を積極的に採用しようとする企業も多くあります。
定年退職後の働き方としては、「定年後に一時退職をしたあと契約社員として再雇用をする」「他の企業に転職をする」「派遣社員・パート・アルバイトなど非正規雇用として働く」「自身で起業をする」といったことが挙げられるでしょう。
最も安定的に仕事をしていくなら、それまで長年勤務をしてきた会社で正社員もしくは契約社員として再雇用してもらうという方法です。
継続して勤務するにしても転職をするにしても、定年を迎えたときには一旦正社員としての契約が終了するのが一般的ですので、定年後の再雇用や再就職をしていくためには、その企業にとって有益な人材であるということを示さなければいけません。
実際に、定年後にどんな人が再雇用されているかを見てみると、定年前とほぼ同じ条件で採用されているのは技術職です。
具体的には、特殊溶接や研磨など、長くその仕事をしてきた人だからこそできる技能があると、定年後であっても健康であれば企業は積極的に採用してくれます。
一方で、定年後に採用条件が大きく変化をするのが大企業の管理職などです。
古い体質の企業などは、今まさに定年を抜ける世代の採用は年功序列が基本となっていました。
その影響で、定年後に何か仕事ができるかということになると「部長ならできます」といった状態になってしまいます。
しかし、今の時代は古いタイプの管理職は、むしろ世代交代のために退職をしてもらう方が望ましい風潮になっているため、もし定年後も仕事を安定的にやっていきたいということならば、その会社内で肩書を用いた仕事をするのではなく、自身の市場価値を高めるためのスキルを磨いていくことが重要なのです。
再雇用されるための方法
大企業の場合、定年退職後に子会社や孫会社に出向という形で再雇用されることもあります。
しかし、そうして再雇用されるタイプの管理職は、現場の人間から見て非常に評判が悪いものです。
以前いた会社のやりかたを押し付けたり、ひどい場合には週に数日しか出勤しないのに従業員に手厚いもてなしを要求したりといったことがあります。
ただ、そうした逃げ切りができるのもここ10年くらいが限度で、今後はそうした無意味な天下りによる再雇用はまず行われなくなるのではないか、と予想されます。
企業側も一昔前は「大会社のOB」というだけで受け入れをしてきましたが、企業に恩を売って仕事を受ける時代も終わりに近づいているため、管理職の肩書だけで再雇用されるとは考えない方がよいでしょう。
これからの定年後の再雇用に必要になるのは、良い意味でシニアとしての経験を活かすことができる人材です。
シニアスタッフは若い人よりも経験があり、トラブル処理にもノウハウがあるので、同じ仕事をしていても迅速に収める能力が期待されています。
再就職に強い人材になるためには、現役世代からトラブルや責任から逃げたり人に押し付けたりするのではなく、そこから人的なノウハウを身につけていくことが重要になってきます。
※本記事作成にあたり参照した記事
【図解・社会】日本人の平均寿命推移(2017年7月)